太陽光パネルの草刈りは必要?方法と費用相場を解説

太陽光パネルの周りに雑草が生い茂っているときには草刈りが必要です。

本記事では、草刈りが必要な理由と、除草方法の種類・費用相場を解説していきます。草刈りを自分で行う場合と業者に依頼する場合の違いも紹介していきますので、太陽光発電を設置している人はぜひご覧ください。

太陽光パネルの草刈りが必要な理由

家庭用に多い、屋根の上に太陽光パネルを設置している場合は草刈りの必要はありません。

野立ての産業用太陽光発電施設は、日当たりの良い屋外の敷地に直接ソーラーパネルを敷いて発電しています。雑草が伸びると発電に安全性・効率性の面で悪影響を及ぼします。

そのため、草刈りなどの雑草対策が必要になるのです。

発電効率が低下する

雑草が伸びすぎてしまうと影を作り、パネルに太陽光が当たらず発電ができなくなってしまいます。雑草には1m以上成長する植物もあります。生い茂った雑草により影ができると、パネルに太陽光が当たらない部分は発電ができないため、発電効率が低下し発電量が下がる原因となってしまいます。また、ホットスポットによってパネルへのダメージを引き起こす要因にもなります。

故障や火災が発生する

雑草対策が不十分であると、発電設備に故障や何らかの不具合を生じさせたり、電気抵抗が大きくなることで電気の流れが悪くなり、発熱を起こす「ホットスポット現象」を引き起こします。

枯れ草は延焼しやすく、伸び放題になっている雑草に引火して延焼すると、近隣の住宅や公共施設等に燃え移る恐れもあります。火元となった太陽光発電事業者へ損害賠償の責任を問われる場合もあります。

害獣・害虫の被害が出る

太陽光発電の周辺管理を怠り雑草がある程度の高さにまで成長すると、鳥やネズミ、蛇といった害獣の住みやすい環境を整えてしまいます。太陽光パネルの下は、害虫や鳥などにとって雨風から卵を外敵から守ることができる安全な場所です。害虫や鳥が安全な巣作りに使える場として住みつかれてしまうと、パネルが害獣・害虫の糞等で汚れたり、ケーブルなどの配線を損傷したりといった太陽光発電をショートさせる二次被害をもたらすリスクも高まります。

景観が悪くなる

雑草の放置を続けると、周辺の風景が損なわれて景観が悪くなり、近隣住民にも迷惑がかかり、不快感を与えることがあります。近くに道路や歩道、建物の周囲などがある場合には、雑草が歩行者の邪魔になってしまうことも。

さらに、雑草を放置しておくと人が立ち入らない空間を作ってしまうため、ゴミの不法投棄や泥棒といった犯罪発生率も高まり治安の悪化につながるリスクも高まります。

太陽光パネルの草刈り・除草方法の種類と費用相場

ここまで、なぜ太陽光パネルの草刈りが必要なのかを説明してきました。

ここでは、一般的な太陽光パネルの周辺の除草方法をご紹介します。

・草刈りによる除草

・除草剤の散布

・防草シート敷

・砂利敷

・アスファルト敷

それぞれの雑草対策の手段と費用の相場に関して、詳しく紹介していきます。

草刈機による除草

除草の最も手軽な対策は、定期的に草刈りを行うことです。自分で草刈りを行う場合には、誰でもできて費用をかけず行うことができます。

草刈機を使えば、手作業に比べて、さらに広範囲の草を刈ることができます。地域や立地等の土壌や雑草の種類にもよりますが、発電所を綺麗な状態に保つには年に4回以上の頻度で草刈りを行うことが理想的です。

一般的に業者にメンテナンスを依頼する場合には、1平方メートルあたり100円前後と言われています。草刈りに対応する業者は多くありますが、太陽光発電設備の草刈りに対応した業者でないと、太陽光パネルに草刈機の刃で石を飛ばしたり、草刈機の刃にてケーブルを切断や巻き込んでしまうこともあるため、選定には注意が必要です。

除草剤の散布

除草剤には様々な種類があり、目的や予算、雑草の種類・状態に応じて展開されています。

すでに生えてしまった雑草を処理するために散布するもの、雑草が生えるのを予防するために使うものとあり、すでに雑草が生えているところに予防用の除草剤を散布しても効果がないため、用途に応じて使い分けることが重要です。

費用の相場は、1平方メートルあたり200-300円程度です。除草と同セットで散布する場合は安価で出来るようです。

除草剤を利用する際は、メーカーが定めた使用方法や薬量を守って安全性を確保して使用しましょう。

防草シート敷

除草・整地後に防草シートを設置する方法です。紫外線劣化の防止加工が施されたものや、表面を二重構造にして雑草が突き抜けにくい耐久性を向上させたものなど、状況に適した製品を選ぶようにしましょう。費用は1平方メートルあたり材料代込みで1,000円~2,000円が相場です。

最近では、両面モジュールの設置や売電効率アップの為に反射シートを張る所も多くなっております。防草シートは施工が簡単で、補助資材を併用することによって、その後の維持管理の工数が大幅に削減できることが期待できます。難点は、防草の効果はシートの性能や施工の丁寧さに左右されてしまうことです。シートを設置する際に隙間があると雑草が引き続き生えてきてしまうため、注意が必要です。

砂利敷

除草・整地後に砂利を敷き詰めて雑草の発生を抑える方法です。初期費用が安価に済み、防草シートを下に敷いておくことと組み合わせることによって、防草効果を高めることがメリットです。

一方、年数が経つにつれて砂利の追加が必要になったり、砂利の隙間に砂埃等が堆積し、そこに飛来種子が侵入し発芽すると雑草が生えてくる可能性があります。あるいは防草シートの併用をしない場合は、元々の土壌に存在した種子が発芽し、砂利の隙間から生えてくるパターンもあります。

さらに除草剤散布といった維持管理も必要になる上、石ハネによるパネル損傷や配線切断といったこと、万が一太陽光発電以外の用途で土地利用する際には砂利の撤去費用がかかってしまう可能性もあるので注意が必要です。費用の相場は1平方メートルあたり1,500-6,000円が目安です。

アスファルト敷

コンクリートやアスファルトを用いて、地面に物理的に雑草を生やさないように防除する方法です。

相場は1平方メートルあたり約1万円以上の費用がかかります。

注意点として、完成済みの発電所に後から施工を行うことはできない点が挙げられます。

防草効果は他の手法に比べて最も高く効果期間も長い上、維持管理コストがほとんど不要なのがメリットです。

一方、デメリットとしては初期および撤去時の費用がかかるため、他の雑草対策に比べて高額な費用がかかります。地面が高温になるため発電効率が悪くなり損失が出る場合もあります。さらに、雑草がアスファルトやコンクリートを貫通したり、雨の日に溜まった泥水等で雑草が発芽する恐れもあります。

これらの点から、高い防草効果が得られる方法ではありますが、費用が高額になる傾向にあるため、よほどの理由がない限りは他の方法を検討する方がおすすめです。

太陽光パネルの草刈りを行うタイミングと頻度

雑草が成長し丈が高くなると、茎が太くなり、結果的に除草作業の負担が高くなります。

太陽光パネル周辺の雑草の状態を把握し、除草の適切なタイミングや頻度を前もって知っておくとよいでしょう。

一般的に、春から夏にかけての時期は雑草が生育しやすいため除草の頻度が多くなる傾向にあります。しかし、雑草は刈り取りによって広がったり増えるという性質もあるため、除草の頻度が多すぎると、かえって雑草の量が増えて除草にかかる費用も高くなってしまいます。

雑草の丈が30cm程度になったら、除草対策を行う目安です。

常に雑草が30cm以下になるように維持できれば、雑草が太陽光パネルへ影を落としたり、発電量を低下させることを避けられます。

太陽光パネルの草刈りは自分?外注?

太陽光パネルの草刈りは、コスト削減をしたいのであれば自身でも可能ですし、外注へ依頼することも可能です。

太陽光発電の除草は素人には難易度が高く危険も伴う施工のため、可能ならば専門の業者へ現地調査を依頼し、見積もりと適切な除草方法を提案してもらうと安心です。

本記事では、自分で除草する場合と外注する場合それぞれのメリット・デメリットや特徴をご紹介します。

自分で除草する場合

自分で除草を行うことで、コストを低く抑えることができますが、手間がかかる点、素人施工のため処理が甘くなる恐れがある点、また、最悪の場合に設備の故障につながる可能性もある点がデメリットになります。

除草の失敗を防ぐために、できれば除草前に太陽光発電設備を停止し、安全な状態にしておくと良いでしょう。虫の発生も予想されるため、殺虫剤を準備しておくと快適です。

草取り機を使って除草する際は、なるべく太陽光発電設備に近づかないでください。設備周辺は除草専用のハサミ等で除草作業を行ってください。また、草の再生を防ぐため、除草時には根まで取り除くようにしましょう。

外注する場合

太陽光発電設備の除草は、適切な手順で除草を行う専門の外注業者へ依頼することで、安全かつ長期間にわたって雑草を防ぐことが可能です。

外注業者へ頼む場合「どれくらい費用がかかるのか?」と心配になられる方もいらっしゃるでしょう。

依頼を検討されている方は、可能であれば業者に現地調査に来てもらった上で事前に見積もりをしてもらうと安心です。

その際、業者の提供サービス内容、期間、料金、実績等もあわせて提示してもらうことで、納得して依頼できるような業者と契約するようにしましょう。

まとめ

雑草は対策をしない限り、毎年伸び続けます。

放置し続けると、伸びた草により太陽光パネルに影ができて発電量が低下する上、最悪の場合火災につながる恐れもあります。年間を通して最大限に太陽光パネルを稼働させるためにも、定期的な除草が不可欠です。

太陽光パネルの除草方法にはいくつか種類があり、それぞれ費用相場は異なります。

自分で除草する場合の経済的なメリットはある一方でデメリットもあるため、現場の状況に応じた適切かつ安全な除草を行うためには、できれば経験豊富な専門業者へ依頼することをおすすめします。